保健師の悩み

保健師の悩み。健康教育が上手く出来ない時。

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保健師の仕事のひとつ「健康教育」。

特に行政の保健師、企業の保健師、病院の保健師として勤務していると避けては通れない道になると思います。

健康教育では、様々なテーマに沿って保健師が講義形式でお話をしていくのですが、実は健康教育が苦手な保健師って多いんですよね。

「人前で話すのが苦手」
このような悩みを持っている保健師はたくさんいます。

保健師はコミュニケーション力も問われる仕事となりますが、一対一のコニュニケーションと違って大勢の前でお話するのはまた違った緊張感があります。

ただ単に経験が浅くて慣れていないがために苦手意識があるのか、それとも元々あがり症で人前が苦手なのか理由は様々ありますが、ここでは筆者の失敗経験をもとに健康教育がうまくいかなかった時にどのように挽回したのかについて話をしようと思います。

人前が苦手な私が健康教育担当になった。

私が産業保健師として勤務して2年目の時でした。

そろそろ健康教育を担当してみないか?と上司に言われ断る勇気もなく引き受けた健康教育。

そう、私は元々極度のあがり症でできることなら人前で話す仕事は避けたかったのです。

学生の頃から人前で発表する時は頭が真っ白になって自分が何を言っているのか分からなくなってしまうし、周りからは緊張しすぎと笑われる始末。

こんな私が健康教育を任せられたのです。

ですが仕事なので断ることもできず上司には「頑張ります。」としか言えませんでした。

そんな私の初めて健康教育で担当したテーマは「禁煙」。

健康教育の中では割とメジャーな分野になると思います。

資料は元々、先輩方が使用していたものがあったため初めはそれを使用したら良いと上司に言われており、ひたすらパワーポイントのスライドを見ながら健康教育の練習をしました。

講義時間は1時間。
内容はパワーポイントのスライドに沿ってタバコの害や禁煙方法について話すだけでなく、スモーカーライザーと言うCOモニターを用いて皆さんに体験してもらいながら進めていく形式でした。

当時の私はスライドの内容とスモーカーライザーの使用方法を頭に叩き込むことで必死。

健康教育の前日には上司に自分の発表内容を確認してもらい当日を迎えたことを覚えています。

そして初めての健康教育では参加者20名程で、参加も希望者のみ。
このような環境であったため、皆さん真剣に話を聞いてくれた上にスモーカーライザーの体験も盛り上がり、1時間を少し上回るくらいで終了しました。

自分でもビックリするくらいに、あまり緊張することなく健康教育を終えてホッとした記憶があります。

ですが今、考えたら参加者の方にとても恵まれていたのだと思います。

そして、この初めての健康教育のイメージが残った状態で、次も健康教育を引き受けることとなりました。

2回目の健康教育で受けたクレーム。

私の人生で2回目の健康教育は1回目から少し期間があいて半年後でした。

しかも私は当時、本社での勤務だったのですが今回は系列の子会社からの依頼で、全く知らない所での健康教育。

健康教育の内容は前回と同じく禁煙だったので、上司からも1回やったし出来るでしょと言われ引き受けることに。

その時の私は他にも慣れない業務で忙しく、健康教育のことは1回やったこともあることへの甘えもありギリギリまで準備をしていませんでした。

2週間前より担当者を話を詰めていき練習も行い、いざ当日。

当日の参加者は事前に確認をしたのですがギリギリまで分からないと言われ、いざ蓋を開けてみるとなんと50人。

今思えば、子会社で勤務時間中に50人もの社員を集めるのは担当者も苦労したと思います。

ですが担当者もその分、会社の禁煙率を上げたいと言う気持ちが強かったのでしょう。

私は無事に健康教育を終えることしか考えておらず、目の前の50人の社員の人数の多さにただただ圧倒されていました。

初めての健康教育とは違い、無理やり参加させられた社員も多く質問しても返事がない。誰とも目が合わない。そもそも誰も目の前のスライドを見ていない。手元には内職するように持参されたパソコンを眺めている方もたくさんいました。

そしてメインの盛り上がりポイントのスモーカーライザーの体験も誰も挙手しない。勧めても嫌がられる…。

ただ私の声が響いているだけのこの空間がとても嫌で、早く終わってほしい…と思いながら健康教育を行った記憶が鮮今も鮮明に残っています。

自分でも健康教育が終わった瞬間、もう駄目だ…って思ったほど出来栄えは最悪なものでした。

そして最後に担当者の方から言われた一言。
「なんかあまり盛り上がらなかったですね。健康教育ってこんなものなのですか?」

返す言葉もなく、冷ややかな視線にも耐えたのを覚えています。

帰りの電車の中、もう健康教育なんて二度とやりたくない…と思いながら自分の出来なさに愕然としていました。

そして後日。

急に上司から呼び出されて、「この前の子会社の健康教育はどうだった?」と聞かれました。

あまりの出来なさに何て答えたら良いか考えていたら上司から、「実は担当者から今後健康教育を行う時は、あなた以外の保健師をお願いしたいと言われてね…」と言われ、あぁやっぱりね。と思ったのと悲しい気持ちでいっぱいになりました。

上司からは「初めての健康教育ではあなたの評判は良かったから、なぜ今回このような結果になたのか一緒に考えていきたい。クレームを受けたのはショックだと思うけど、今後のあなたのためにもなると思うし。」

上司は私と一緒に振り返る時間を作ってくれましたが、当時の私はもう健康教育について振り返る気力もなく(正直、振り返るのも嫌だった。)早く時間が過ぎて欲しいと思っていました。

すごい嫌だったけど振り返ってみた。

上司との振り返りの時間では、準備が不十分であったこと。人数に圧倒されてしまったこと。上手く会場を盛り上げられなかったこと。など自分で思い当たることを伝えると、もう一度あなたの健康教育を見てみたいと言われたので再度、上司の前で健康教育を実践することになりました。

この時も正直、健康教育には関わりたくないと言う気持ちも強かったため、本当はやりたくなくもう私を健康教育担当から外してほしいと思っていたのですが、何とか自分を奮い立たせて上司の前で行いました。

上司からの感想は、「内容は全く問題ないが、あなたの健康教育からは楽しさとか、こうなってほしいと言う気持ちがいまいち伝わってこない。あなたも1時間話続けて辛くなかった?」と。

上司が見てそう思うのだからよっぽどだったのだと思います。

上司からは「一週間時間をあげるから自分でも考えてみて。」と言われ、一週間後再度私の健康教育を見てもらうこととなりました。

どうしたら良いか考えてみた。

どうしたら楽しく健康教育ができるのか。

そもそも私は人前が得意ではない。その地点で健康教育は向いていないと思い込んでいました。

ですがこれを乗り越えないと、私は永遠に上司の追い打から抜け出せないと思いました。

この時は、さっさとこの嫌なことを終わらせるために嘘でもいいから楽しくやってる方に演じよう!そしてこの健康教育のことが一区切りついたら私を健康教育の担当から外してもらおう…と逃げることばかり考えてみました。

今の私の話では面白みや興味を引き付ける様な話し方は出来ていなかったため、いちから勉強し直すつもりで厚生労働省の禁煙ガイドラインを印刷して読み直しました。

これ読んだことある方なら分かると思いますがかなりボリュームがありますよね。

これを毎日の電車通勤の時間と、夜寝る前にひたすら読み込みました。

そして発表用のスライドも見返して、元々自分で作成したものではないので、これを作った人は何を伝えたかったのだろうと考え直し、スライドの内容と禁煙ガイドラインの内容を照らし合わせたり、それ以外に分からないところは自分で調べたりと、もう今回で健康教育は最後だから!と半ばヤケクソになりながら発表に向けて準備をしたことを覚えています。

そして今回の発表対策に原稿も作り直し、質問内容もクイズ式にしたり、もし盛り上がらなかったことを考えて禁煙に関わる小話を一つ二つ用意したり、空気が悪い時様に座ってできる簡単なストレッチも用意して(途中に背伸びをみんなでするだけでも集中力が戻ってきたり自分も身体を動かすことで緊張がほぐれたりします。これは自分自身を落ち着かせるためにもかなり効果的でした。)様々なパターンに自分が対応できるように考えていきました。

もう一度上司に見てもらった。

一週間後、用意周到で上司に健康教育を見てもらいました。

自分で言うのもアレですが、健康教育を終えた瞬間やり切った!っと思いました。

上司からは「前に比べて顔がイキイキしていたように見えた。あとは経験を積んで場慣れしていくだけだね。」と。

そして今回見てもらうために自分でどんなことをしたのか聞かれたので、用意した原稿や厚生労働省の禁煙ガイドライン、自主学習した資料を見せました。

すると上司から、「この一生懸命準備したことが自信に繋がって、さらに楽しい気持ちになっていくと思う。健康教育は楽しんだもの勝ちだから今回のクレームに負けずに頑張って欲しい。」と。

振り返ってみると私は今まで、準備していたつもり、頑張っていたつもり、勉強してきたつもり…になっていたのかもしれません。

また参加者も聞く気ないし…など思っていたことが自然と態度に出ていたのかもしれません。

もし参加者が嫌々参加していたとしても、一生懸命に伝える姿勢は崩してはダメなのだと気づかされました。

そして参加者全員へ愛情を持って話しかけることも大切だと思いました。

私は心のどこかで禁煙の健康教育をしても一体どれだけの人が行動に移せるのだろう…と思っていました。実際に、すぐに行動する人なんて一握りもいません。

ですが今すぐ行動に移せなかったとしても、何かの拍子に私の禁煙の話を思い出してきかっけにしてくれたらいいなと思うようにして話すようにしました。

保健師の仕事柄、すぐに行動変容を求めがちなのですが、このような気持ちを捨てて出来なくてもいい。何かひとつでも話を聞いてくれていたらそれで良いと思って話すように意識を変えるようにしました。

ベテラン保健師の方から見るとこんなこと当たり前のように感じると思いますが、当時の私はまだまだ半人前だったのでこのような当たり前のことにも気づけずにいたのです。

ですがこのように意識を変えるだけで、自分自身も健康教育を行う時にからの力を適度に抜いて話が出来るようになったと思います。

全て完璧にしないとダメと思っていましたが、一生懸命愛情をもって健康教育ができたらそれでいいじゃないのかと思うようにしています。

この一件から、一時期はもう二度と健康教育は頼まれても引き受けないと思っていましたが、幸いにも健康教育の舞台に再度立つことができ、健康教育から逃げることなく今も仕事をしています。

私が今回の失敗から学んだ事

・健康養育は上手にやろうと思わないこと。
・愛情を持って伝えたいことを伝える。
・自分自身が楽しむこと。
・緊張した時は背伸びをするのが効果的!

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